DEAR 2nd 〜Life〜




───うそ…っ!




躍起になる心臓の鼓動が刺すような痛みに変わって、ガクガクと足がすくむ。





───うそ…




うそでしょ……?







「───…っ、」






息遣いが漏れないように慌てて口元を手で覆った。








─────…コツ…







近付いてくる足音は相変わらず凛としている。






……けれどその姿は、どこか物寂しい冬の景色と同化している様な気がした。







「────…」






ふぅっと溜め息を吐き、疲れたような顔で歩いてくる朝岡さんに涙が込み上げてくる。







姿勢のいいあなたの背中を見ていると、丸まっていたあたしの体がシャンとした。







───…たった数日しか離れていないのにね。





もう何十年も会ってないくらいあなたを遠くに感じるよ。






物影に隠れながらソッと朝岡さんを見つめると









「─────……」







朝岡さんはポケットから何かを取り出し、ジッと見つめていた。







「……?」






……何見てるんだろ…








─────…ウィーン…






そうこうしてるうちに朝岡さんの姿はマンションのエントランスに消えてしまい……







─────…フッ…






強張っていた全身の力が一気に抜け、あたしはヨロヨロと立ち上がった。







「────ごめんね…」





まだ向き合う勇気がなくて。




何も言えずに立ち去るあたしを許して───…






グッと涙を拭い、元来た道を引き返そうとすると







━━━━━ヴーヴー!








「…え…?」






まるで“行くな”と引き止める様にケータイのバイブ音が鳴り響き






表示されたのは───…









【新着メール;1件】









*/12/25 14:30

From 朝岡さん

Re;

───────────






Merry X'mas.







I hope I will hear from you soon.






If you should change your mind, call me.







I'll come.






-END-

















メリークリスマス。







連絡、待ってるからさ。






もし気が変わるようなことあったら呼んでな。








行くから。






  



「───…っ…」


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