DEAR 2nd 〜Life〜



「───…会いに…



行かなきゃ…」







ただ漠然とそう思った。





今からでも遅くないなら許してくれる?






───あたし。




もう朝岡さんから逃げたくない。





ほんとは事実を知られるのが怖かった。





…───ううん。




まず事実を受け止めようとはしなかったあたしが悪いね。





知られたくないから単に“話せない”って理由に変えてただけ。







……知り合って今日、昨日の仲じゃないのに。





ずっとあたしを見守ってくれた四年があるからこそ、逆に信じなきゃいけなかった。






───…朝岡さんを信じてなかったあたしが悪い。








「───…話そう…」








話さなきゃ。





それであなたに同情なんか求めてない。





ただ“起こった事実”をあなたに話すだけ。





そこからは悲しいけど、引くも、離れるも、別れるもあなた次第だと思う。





あたしはどんな結末が待っていたとしても変わりはしない。





それよりこのまま背を向けたままはあんまりだ。








────…♪~~♪~







決心に賛同するかのように鳴った着信音はマリアから。







─────…ピッ






意を決して通話ボタンを押し、ケータイを耳に翳した。






「…もしもし…」





『───あ、彩?あたしだけど……




今日ごめんね、バンドの音合わせあって帰り遅くなりそうなんだ…』





「…え…」






────音合わせ…






『もし家来るならさ、スペアキーで開けて先入ってていいからね。




あと──…』







「───マリア、あの」




『ん?』







“音合わせ”って事は、

絶対に朝岡さんもいる。






なら……









「───あたし…っ




あたしも今からその音合わせ練習行っていい…っ?」








『───え?』







決心が鈍らないように一気に言った言葉に、マリアは驚きの声を上げた。






『…彩?だって──…』






「───あたし…っ





やっぱり朝岡さんに会いたい───…っ……」







『…』







今まで散々避けてきて今さらって思われるかもしんない。





でも…








たとえどんなに非難されても












「───あたし朝岡さんの事好きなの…っ」



< 419 / 475 >

この作品をシェア

pagetop