DEAR 2nd 〜Life〜





こればかりは逃げられない。





避けては通れない。





答えは二つに一つ。







───もし……





もし妊娠してたら…?








「────…うっ…」







考えただけで吐き気がした。





妊娠を知る瞬間って、もっと感動するものだと思ってた。






…───いつか……





いつの日か。





愛している人の子どもを授かるのが当たり前だと思ってた。





このお腹に命が宿った瞬間、あたしどんな反応するんだろうなって。





泣いちゃうかな。




それともニヤニヤしながら笑うかな?





愛してる人に報告したら、一体どんな顔して喜んでくれるかな?





どっちにしろ嬉しいに代わりはないだろうなぁ…。






…───なんて、さ。









「───どうして……」






こんなにも現実は残酷なの?





愛している人なんかじゃない。




どこの誰かも分からない。




そんな人との妊娠なんか望んでない。






っていうか……








「───…あんなのセックスじゃない……」







強要された性行為。




暴力と恐喝から成るただの脅し。




秩序も理性も何もない。







────…そこには








“愛”なんかない……









「……」







哀しかった。





もしもの場合、あたしこれからどうなるんだろうって。








─────…♪♪~♪







バッグからは今日もあの人からの着信音が鳴り響く。





指定の着信音にピンクの着信ランプ。








「───…朝岡さん…」







─────…♪~♪~









いつまで逃げるつもり?






ホントは分かってるくせに。






何もかもから逃げてるって事。





だって逃げたいよ。




何もかも全部捨てたいよ。






────でも






“生きてく”って事は全部から逃げられない。







…───気付いてる?







“苦しい”って言っちゃえば何もかも済むって思ってない?






“じゃあそこにいていいよ”って答えを望んでない?






知らず知らずのうちに同情求めてない?






諦めた先に見える解放に憧れてない?








…────あたしは














望んでた





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