DEAR 2nd 〜Life〜



「……んーとね、

まず、歯科助手と歯科衛生士の大きな違いは“国家資格”が有るか無いかって事なの。」





「……国家資格……。」





「うん、当然資格があるのが歯科衛生士ね。

これが有ると無いとで色々違ってくるのよ。」




「?どう違うんですか?」




興味深く身を乗り出すあたしに、陽子さんは次々と丁寧に説明してくれた。





「──…まず、歯科助手は口の中は触れない。


歯石取ったり、ハミガキ指導したりっていう、口に関する業務は衛生士が出来る事。


助手は器具洗ったりとか準備したりとか、そういう業務はOK。


でも口腔内の中はNG。

一切触れない。」






──なるほど……。





「資格手当てとか、給料の面でも違ってくるしねぇ…。


何より“資格”って、持ってれば役に立つかなぁって思ったの。


資格持ってれば、まぁ就職とかには困らないし。」






「……………」





───“資格、取ったら?”────




ふいに、ぶんちゃんと交わした会話が蘇る。





確か、ぶんちゃんが目指してた理学療法士も国家資格だったなぁ……。



要するに、資格持ってれば色々と便利ってことか……。





「あたしは別にやりたい事もなかったから、とりあえず衛生士目指した感じかなぁ……。



──…そう言えば彩ちゃん、進路決まってるの?」





─────ぎくぅっ。





今度は陽子さんが質問返しをしてきて、返答に時間が掛かる。





「………いえ………

実は………その……


まだ何にも決まってないんです……」





「───あら、そうなの?

何だかあたしと一緒ね!」






─────え?





“あたしと一緒?”


ってことはもしかして……






「───あのっ…!



じゃあ、陽子さんもなかなか進路決まらなかったんですか?」





急くように再び身を乗り出して聞けば、





「うんっ♪

あたし、すごく進路決まらなくて苦労したの。」





陽子さんがケロッとそう言ったもんだから、あたしはますます陽子さんに親近感が湧いた。




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