DEAR 2nd 〜Life〜




────ギュウウッ…





今の一言の重みが胸を締め付ける。




朝岡さんはずっと辛い恋をしてきた。




“叶わない”と何度も俯かせた事もあっただろう。







「───ごめ…っ…



彩ごめんな…っ…」






何度、泣かせたんだろう。



何度、苦しめたのだろう。






「…あさ…おかさん…っ…」






───泣かないで。




お願い泣かないで。






「───……行かないから……




あたしもうどこにも行かないから……っ…」






「───…彩…」






朝岡さんの両頬に手を添え、流れる涙を拭う。








「───…朝岡さん…




愛してる……」







もし、願いが叶うなら。




あの日に戻りたいとか、

人生やり直せたらとか。





…そんな、後悔染みた願いじゃなくて。





あたしはこの人を守れる力が欲しい。




ずっとこれからは笑っていて。




ずっとあたしの大好きな笑顔で笑っていて。





誰にもその笑顔を壊される事がないように。




誰からもその笑顔を奪われる事がないように。






祈り続けるから。





守り続けるから。








「───…彩……




ありがとう……




生きててくれてありがとう……」












“俺に出逢ってくれて

ありがとう”








…と。






朝岡さんは普段絶対に見せない涙を流しながら、終始あたしを優しく抱いてくれた。







…───出逢って、四年。











“自分、新入生?”






“はいっ♪



この4月から入部した、

桜井 彩です♪”






“そっか、宜しく♪”









…───お互いが“有り得ない存在”だと思っていた四年前の春。





季節が過ぎ、年を重ねる毎に大人になったあたしは








“朝岡さんなんか…

嫌い……っ”





“分かってないのは彩やろ!”





“好きにすればいいじゃない!”










すぐそばでその過程を見守り続けた人の愛に気付き、恋をした。





すれ違いも数えきれないくらい沢山あったし、随分遠回りもしたけれど…






…───いつしか





朝岡さんは、あたしの人生でかけがえのない大切な人になっていた。

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