DEAR 2nd 〜Life〜





そのまま食い入るようにパンフを見つめ続けていると───…








「ねぇねぇ、どれが楽しみ?」




「えー、そうだなぁ…。

ピアノとバイオリン演奏楽しみだし……




───あっでも♪

バンドならやっぱり紅かなぁ♪」







─────…えっ……!






周りの何気ない会話が、あたしの耳に自然と入ってきた。






───…い、今紅って言った?






………言ったよね。





───絶対言った!







─────…コソッ。






紅の事がもっと知りたいゆえに、あたしはさらに聞き耳を立てる。






「──…あー、紅かぁ!

あのバンドはホント本格的だもんねぇ!!



確かにあたしもそれは楽しみかも。」





「それに去年純くんライブ中に倒れたしさぁ……。



何か声出ない時期とかあったみたいだし、今年は大丈夫かなぁって心配だよね。」






………………。






────何か……





やっぱり大変だったんだ……。






───…大丈夫だよね?




大丈夫だよ───……












“俺、音楽好きでさ…”










……朝岡さん、そう言ってたよね。





音楽、本当に大好きだもんね。





確かにあたしは、周りのみんなみたいに深く朝岡さんの事知らない。






知らないけど、朝岡さんが歌うの大好きだってことは知ってるよ。






知ってるから───…






絶対成功するよ。




もう倒れたりなんかしないよ。






祈ってるからね───…。






……そう強く思った瞬間







━━━━━━スッ……








────ライトが消えた。


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