その手で触れて、そして覚えて。
そして、次の日。
「おはよう。」
わたしが出勤すると、何だかわたしへの視線が集まって変な雰囲気が漂っており、部下たちも余所余所しく「おはようございます。」と言ってくる。
え、何?
そう思っていると、先に出勤していた紗和が近付いてきて、「ちょっと、七花!」とわたしの腕を掴み、フロアの隅にわたしを連れて行った。
「何?どうしたの?」
「ちょっと他の子たちが話してるの聞いただけなんだけどさ、、、七花が、街風くんをお持ち帰りしたって、本当?!」
紗和の言葉に頭が追い付かず、「???」となっていたが、「はっ?!そ、そんなことするわけないじゃん!!」とわたしは驚いた。
「だよね、七花がそんなことするわけないよね。」
「何でそんな事になってるんだ、、、」
「街風くんが歓迎会の途中で七花主任に連れて行かれたって、若い子たちが話しててさ。」
「あぁ、、、」
まぁ、そうなるよね。
街風くんと帰ったってなったら、わたしが連れ出したって思うのは仕方ない。
「そんな嘘の噂流すの、やめてもらっていいですか?」
そんな声が聞こえ、ふと見ると、そこにはコソコソ噂話をする女性社員たちに向かい、冷めた目で見下ろしている街風くんの姿があった。