その手で触れて、そして覚えて。

冬司は家に上がり込むと、自分の自宅のように遠慮なくドンとソファーに座り、買って来たお酒やつまみ達をテーブルに広げていった。

その間、わたしは寝室に向かい、部屋着に着替える。

冬司とは本当に腐れ縁の為、部屋着でもスッピンでも見せられる間柄なのだ。

リビングに戻ると、冬司が「早く飲むぞ〜。」とわたしを急かす。

わたしは冬司の隣には座らず、冬司の斜め向かいでテーブルでは上座とでもいう場所のラグの上に座った。

そして、並ぶお酒の中から缶チューハイを手に取った。

「相変わらず、酒弱いんだな。」
「うるさいなぁ。」

そう言いながら、冬司はビール、わたしは缶チューハイで「お疲れ〜」と乾杯をした。

疲れた身体に缶チューハイはよく効く。
が、すぐに酔いそうな気配がした。

「七花とこうやって飲むの、久しぶりだよな。」
「かもね〜。」
「最近、モテ男くんの子守で忙しいんだもんな?」

からかう様な言い方をしてくる冬司。

わたしはミックスナッツを゙つまみながら、「街風くんなら、もう一人で仕事任せてるよ。」と言った。

「え、もう?」
「うん。あの子、仕事の覚え早いし、丁寧に仕事するから。」
「へぇ〜、イケメンで高身長、手も掛からなくて仕事も出来る。さすがモテ男くんだな。」

冬司はそう言ってビールをぐびっと飲むと、何だか面白くなさそうな表情を浮かべていた。

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