その手で触れて、そして覚えて。

次の日、街風くんは時間通り車で迎えに来てくれた。

「おはよう。」
「おはようございます。」

わたしが助手席に乗り込むと、街風くんの視線が気になり「ん?あ、わたし、どこか変?!」と慌てて訊くと、街風くんは「いえ、七花主任がいつにも増して綺麗なんで、、、つい見惚れちゃいました。」と照れくさそうに言って微笑んだ。

その言葉に恥ずかしくなったが、わたしは素直に「ありがとう。」と街風くんの言葉を受け止めた。

「さて、行きますか。」
「どこ行くの?」
「最近出来たばかりの水族館です。大人向けって書いてたので、どうかなって思って。」
「水族館かぁ〜。いいね!水族館なんてもう何年も行ってないから楽しみ!」

そして、わたしたちは街風くんがチョイスしてくれた、その水族館へと向かった。

最初は緊張していたけど、子どもの頃に行った水族館の話などをしていたら、いつの間にか自然体でいることが出来た。

それから、私服の街風くんも爽やかで素敵だなぁ、と思う自分がいた。

水族館に到着すると、街風くんが率先して入場チケットを購入してくれて、わたしは「自分の分くらい払うよ!」と言ったのだけど、街風くんは「誘ったのは俺の方なので、俺に払わせてください。」と言ってくれた。

そして、いざ水族館へ入場。

入ってすぐ目の前には、クラゲの水槽があり、凄く幻想的でわたしたちは「わぁ〜!」とフワフワと泳ぐクラゲを魅入ってしまっていた。

「綺麗、、、」

そう呟くわたしの隣に並ぶ街風くん。

すると、ふと手が触れ、ドキッとしたが、わたしはその少し触れた手をそのままでいた。

街風くんはその少し触れた手をそっと重ね、そしてわたしの手を握り締め、わたしたちは初めて手を繋いだのだった。

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