その手で触れて、そして覚えて。
「君、七花の部下だったよな?10歳以上、年下じゃなかったっけ?」
「12歳差ですが、何か?」
「12歳も下って、俺たちくらいの年齢からしたらガキだよ。経済力もないくせに、自分が七花と釣り合うと思ってんの?」
颯生くんを煽るような言葉しか言わない冬司に、わたしは「冬司!」と言い返そうとしたが、颯生くんは「七花さん、大丈夫です。俺に話させてください。」と言った。
「確かに、俺はまだ入社したてで正直、経済力はありません。でも、経済力が全てではないと思っています。だからと言って、愛だけで生きていけるかと言ったら、それもなかなか難しいのは理解しています。」
颯生くんがそう言うと、冬司は鼻で笑った。
「なので、僕はこれから半年に一度ある昇格試験を受けて、職位を上げる努力をしていくつもり、いや、していきます。いつか、七花さんに釣り合う男になる為に。」
颯生くんが、、、そんなこと考えてくれてたなんて、、、
すると、冬司は相変わらず颯生くんを馬鹿にした態度で「釣り合う男になるって、何年かかるんだよ。」と笑った。
「冬司さんは、、、どうして、そんなに僕に突っかかってくるんですか?」
「はっ?」
「冬司さんも、七花さんのことが好きなんですよね?」
「はぁ?!な、何、勝手なこと言ってんだよ!」
「七花さんのことが好きだから、僕のことが気に食わないんですよね?年上の方にこんなことを言うのは失礼ですけど、、、ダサいですよ。」
颯生くんの言葉に苛つきを見せる冬司。
わたしは、二人のやり取りを見ていて不安で仕方がなかった。
「腐れ縁でずっと長い期間、七花さんのそばに居られたのに、それを行動に移してこなかったんですよね?それで僕が現れたら、気に食わないのは分かりますが、何も気持ちを伝えてこなかったのは冬司さんじゃないですか。気持ちを伝える勇気がなかったクセに、僕を攻撃してくるのはダサいです。」
颯生くんはそう言うと、冬司に向かって一礼をし「失礼な発言、申し訳ありませんでした。」と言うと、わたしに向かい「中入りましょうか。」と言い、わたしは急いでバッグから鍵を取り出すと、自宅玄関のドアの鍵を開けた。