その手で触れて、そして覚えて。
「わぁ!本当にピッタリ!」
「ねっ?それで七花さん。まだ返事を聞いていないんですが、、、」
わたしは指輪に見惚れていたが、ハッとして颯生くんの方を見ると「はい、よろしくお願いします。」と答えた。
颯生くんはわたしの答えに満面の笑みで「よっしゃー!」と言い、わたしは颯生くんの喜びように笑った。
そして、わたしたちは交際記念日に入籍をし、わたしは四季七花から街風七花になった。
紗和には「街風主任〜!」と茶化され、周りの女性社員たちからも苗字が"街風"に変わったことを驚かれた。
それから、入籍して2ヵ月後。
ある何でもない日で、仕事から帰宅をしていつものように二人で夕飯を作っている時だった。
「ねぇ、颯生くん。」
「ん?」
「ちょっと話したいことがあるんだけど。」
わたしがそう言うと、キャベツの千切りをする手を止め、「え、何?何かあった?」と心配そうに訊いてきた。
「実はね、、、できたの。」
「え?できた?」
わたしは颯生くんの方を向くと、自分のお腹に手を当てた。
すると、颯生くんは察したのか驚いた表情を浮かべ「え!もしかして!」と言った。
「赤ちゃん、できたの。」
わたしがそう言うと、颯生くんは涙を浮かべ、わたしを抱き締めた。
颯生くんの涙を見たのは、この時が初めてかもしれない。
「ありがとう、七花さん。ありがとう、、、俺、嬉しい。」
「わたしも嬉しいよ。颯生くんとの間に、赤ちゃんを授かれて。」
すると颯生くんは急に「それなら、七花さんは安静にしてないとダメだよ!家事は全部俺がやるから!」と、料理途中だったが、わたしの肩を抱きながらリビングまで移動してわたしをソファーに座らせた。
「まだつわり始まってないし、大丈夫だよ?」
「ダメダメ!油断は禁物だよ?全部、俺に任せて?俺は父親になるんだから!」
そう言ってキッチンに戻って行く颯生くんの背中は、とても頼もしかった。
颯生くんは料理をしながら、「俺がパパかぁ、、、パパかぁ、、、」と呟いていて、わたしはそんな姿を微笑ましく眺めていて、笑ってしまった。
わたしたちは今のところ喧嘩もなく、大切にしてもらっていて最高に幸せだ。
離婚した時は仕事人間になる、だなんて思っていたけど、颯生くんと出会ってわたしの人生は大きく変わった。
再婚相手が颯生くんで良かった。
颯生くん、わたしと出逢ってくれて、ありがとう。
―END―