その手で触れて、そして覚えて。

そして、颯生くんの仕事ぶりは本当に評価が高く、半年に一度の試験を毎回受けては合格して、どんどん昇格していき、ついに宣言通り最年少の主任にまでなってしまった。

しかし、総務課に主任は2人も必要ない為、颯生くんはM支店へと異動することになった。

でも、M支店は自宅から通える範囲の為、そのまま引っ越しせずに済んだ。

それからわたしたちは、颯生くんがM支店に異動する前日に颯生くんの主任昇格のお祝いの為に少しお高めのお洒落なレストランで食事をすることにした。

「じゃあ、颯生くんの主任昇格をお祝いして、乾杯!おめでとう!」
「ありがとう!」

そう言って、わたしたちはシャンパンで乾杯をした。

「颯生くん、本当に凄いよ。25歳で主任だなんて。」
「そりゃあ、頑張ったからね。自分で言い出したからには、有言実行だよ。で、七花さん。俺が最年少主任になれた時の約束、覚えてる?」
「うん、もちろん覚えてるよ。」

すると、颯生くんはポケットから四角い箱を取り出し、それをわたしに向け開いた。

「俺と、結婚してください。」

その箱の中には、ダイヤが輝く指輪が入っていた。

「え、いつの間に?!」
「七花さんにバレないように買いに行くの大変だったんだよ?」
「そりゃあ、大体一緒に居るもんね。でも、よくサイズ分かったね?」
「分かるに決まってるじゃん?七花さんの全てを覚えたって前に言ったことあるでしょ?」

そう言いながら、颯生くんは箱から指輪を取り出すと、「七花さん、左手出して?」と言った。

わたしがドキドキしながら左手を出すと、颯生くんはわたしのは薬指に指輪をはめた。

何と、指輪のサイズは本当にピッタリだったのだ。

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