契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
 それから優香が三杯ほど追加で飲んだ後、ようやく解散となった。

「じゃあまた! いい、恋人が出来たら絶対連絡すること! そうでなくても恋愛絡みの話があったら教えてよね!」
「分かった分かった。もーフラフラじゃないの。気をつけて帰ってね」

 優香をタクシーに押し込んで見送ると、茉莉花も駅に向かって歩き始めた。

「すっかり遅くなっちゃったな」

 優香と別れると、忘れていた疲労感がどっと押し寄せてきた。
 もう日付を超えそうな時間だ。
 帰りを急ぐ人々が茉莉花をどんどんと抜かして行った。

(タクシー呼ぶほどの距離じゃないし……。ゆっくり歩いても終電には余裕で間に合うわね)

 スマホを確認してダラダラと歩き出す。
 冷たい風が心地良い。

 ただ、冷たい夜の街並みは、茉莉花に先日のことを思い出させた。

(この間みたいなこと、ないよね?)

 フラッシュバックした記憶とともに、茉莉花の身体がぶるりと震える。
 疲れた身体に喝を入れて、少しだけ歩くスピードを速めた。

 コツコツコツ。

 後ろから足早な音が聞こえてくる。
 人の気配を感じて端によると、フードを被った男性が茉莉花の横を通り抜けた。

 その時――。


「夜遊びだなんて、懲りない奴だ」

 茉莉花の耳に男の囁き声が聞こえ、急に強い力で腕を掴まれた。

「や! 何!? ……っ! い、嫌!」

 茉莉花は必死で腕を振りほどくと、走り出した。

(どうして!? また? とにかく逃げなきゃ)

 さっきの男が追ってきているかもしれない。
 そう思うと、振り返ることも出来なかった。
 前だけを見つめて必死に足を動かす。

(もっと遠くに行かなきゃ!)


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