契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
「はははっ、もっと聞いていたかったけど」
「もう、勘弁してください……。っていうか、途中で止めてください」
「そんな勿体ないこと出来ません。茉莉花さんの話を聞いて、会社を立ち上げて良かったと心から思いました。……本当はこのホテルに就職する予定でしたから」
「え?」

 驚く茉莉花に、颯馬は自分のことを話してくれた。


「藤堂家の次男として生まれたからには、将来は決まっていると思っていました。どうせ会社を、兄の手伝いを、するだけだと。でもなんだかつまらなくて……そんな時、戯れに作ったタスク管理アプリが結構評判で、そのまま会社を立ち上げたんです」

 颯馬は当時を懐かしむように目を細めた。

「最初はとても楽しかったんです。仕事や学業を頑張っている人の役に立っている気がして。でも……」

 そこまで言って、颯馬は言葉を止めた。
 茉莉花がきょとんとした顔で見つめると、颯馬は俯いてふっと微笑んだ。

「実際、会社として何個かアプリを開発していくうちに、手応えを感じなくなったんです。『誰かの役に立っているんだろうか』『これは、頑張りたい人が本当に求めているものなんだろうか』って。それが知りたくて、夜喫茶を始めました。あの店には色々な人が来ます。夜勤前の人、資格の勉強をする人、仕事疲れを癒しに来る人……。その人達のためになるアプリを考えていくうちに、『猫執事と一緒!』が出来たんです」

 (そうだったんだ……)

 茉莉花は胸のあたりが温かくなるのを感じた。

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