契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
「はぁ、はぁっ……」

 無我夢中で走り続け、細道を何度も曲がり、少し大きな通りに出る。

 辺りを見渡した瞬間、灯りのついている店が目に入った。

(とにかくあそこへ!)

 何の店かも分からなかったが、茉莉花はそこに飛び込んだ。



 カランカラン――。


 ドアベルが大きな音を立てる。
 店主の男性が驚いたように茉莉花を見つめていた。

「いらっしゃいませ……お客様、大丈夫ですか?」
「おっ、追われていて……誰かにっ! あ、あの、そんな気がして……えと、すみません」

 息を切らせながら口を開いた茉莉花だったが、だんだんと声が小さくなる。

(急にこんなことを言ってもご迷惑よね。足音だって気のせいかもしれないし……。これじゃあ私が不審者だよ)

 それでも茉莉花の話を聞いた店主は、サッと表情を強張らせた。

「どうぞ奥の席へ。僕は外を見てきます」 
「あっ、でも……」

 茉莉花が止める間もないほど、店主の行動は素早かった。
 外を確認して戻ってきた店主は店を閉め、茉莉花を奥のソファーに座らせた。
 茉莉花の他に客はいなかったようだ。

「外に人影はありませんでした。でも外に出るのはもう少し待った方が良いかもしれません。裏口にタクシーをお呼びしましょうか?」

 スラリと背の高い店主は茉莉花と目線を合わせるために跪き、安心させるように優しく微笑んだ。




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