契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
 そこには嘘も、誤魔化しもない。
 ただただ誠実な颯馬の瞳があった。

(あぁ……颯馬さんはこんなにも真っ直ぐなのに、私は何を悩んでいたの?)

 茉莉花は急に自分の悩みがちっぽけな思えた。
 颯馬に釣り合わないなら、努力すれば良い。
 それだけのことだ。

「颯馬さん」

 茉莉花は颯馬の視線を真正面から受け止めた。

「私、きちんとお返事をします。ちゃんと颯馬さんに相応しい女性になって、肩を並べたいです。だから、もう少しだけ猶予をください」
「猶予?」

 もう告白したも同然の言葉だったが、それを言う前に片付けたい事があった。

(優香にちゃんと言う。好きな人なんだって。颯馬さんを愛してるって。それで、もう変なメッセージや颯馬さんに付き纏うのは止めてって言おう)

「颯馬さんにお伝えする前に、優香と話をしてきます。その後、私の話を聞いてくれますか?」

 これは茉莉花の我が儘だ。
 自分の気持ちに区切りをつけるために、颯馬を待たせ、優香を利用しようとしている。

(断られたって仕方がない。こんな性格の悪いお願いなんだから)

 それなのに颯馬は優しく微笑んで頷いてくれた。

「分かりました。……でも、長くは待てません。あんまり遅いと、池内さんに嫉妬してしまいますから」

 颯馬が冗談めかして言うものだから、茉莉花も微笑んだ。

「ふふっ、分かりました。すぐ終わらせてきますね」

 目標が決まれば動き出せる。
 茉莉花はいつもそうだった。


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