幼なじみは、私だけに甘い番犬
短気な性格の玄希だが、椰子が泣きだすとバツが悪そうにシュンとする。
椰子はお人形さんのように可愛らしい容姿があだとなって、誘拐されそうになったことがる。
だから、気心知れた人でない限り距離を取ろうとする。
これが極度の人見知りの発端でもあり、泣き虫と言われる所以。
『ったく、だから俺から離れんなっつったろ』
『…………ぅんっ』
『もう泣くな。俺が傍にいてやるから』
家族でモールに買い物に行った時に知らないおじさんに連れて行かれそうになった時だって。
なんだかんだ文句を言う玄希だが、いつだって椰子を見放したりしない。
『んじゃあ、新作のもちチョコアイス、買って』
『えっ』
『お前、タダでガードして貰えると思ったら大間違いだぞ』
『…………お金は?』
『何、俺に払わせる気?』
椰子にとって玄希は、完璧なボディガードだけれど。
天敵とも言える存在でもあった。
四六時中そばにいて。
椰子のことを誰よりも知っている男の子。