俺様同期の執着愛
「え? 俺、なんか言ったっけ?」

 起きて朝食をとりながら、柚葵は私の質問に対し、そんな返答をした。
 どうやら柚葵は、昨夜私に言ったことをほとんど覚えていないらしい。

「ううん、大丈夫。早く食べて」
「なんだよ。俺がなんて言ったか教えろよ」
「くだらないことよ」
「ほんとか?」

 私はそれ以上突っ込まずに黙って野菜スープを口にした。
 さっき炊き上げたご飯をおにぎりにして目玉焼きも作って添えて。

「じゃあ私、いったん帰ってから会社行くから」
「そのまま行けばいいじゃん。ここから近いし」
「昨日と同じ服で行けないよ」
「俺は気にしたことないな」
「そりゃあんたはね」

 スーツならわからないよね。
 こういうとき、制服とかあれば便利だなって思う。

「綾、わざわざありがとう。本当に嬉しかった」
「え? ううん。別に」

 柚葵が妙に真剣な顔でそう言うものだから、少しどきりとした。
 だけど、いまいち素直になれない私は可愛げのない返しをしてしまう。

「来るなって言ったのにね」

 冗談で返してくると思っていたら、柚葵は真面目な顔して言った。

「来てくれって言うと、何様かと思われるだろ」

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