俺様同期の執着愛
「綾、今日メシ食って帰らない?」

 柚葵に仕事のあと誘われた。
 お見舞いのお礼にごはんを奢ってくれると言ったから、ありがたくご馳走になることになった。
 ただし、今日は金曜日の夜だ。
 その意味が私にはわかっている。

「いいよ」

 私たちは定食屋へ行った。
 柚葵はステーキ定食で、私はハンバーグ定食を食べた。
 もっと高い店とか、イタリアンでもいいと言ってくれたけど、柚葵とそういうお店に行く気になれなかった。
 定食屋のほうが気軽な気持ちでいられるから。

「柚葵は今年の社員旅行どうするの?」
「あー、うん。どうすっかな」

 私はみんなが疑問に思っていたことを訊いてみることにした。

「去年はどうして来なかったの?」

 面倒だったから、とか。
 彼女がいたから、とか。
 そんな理由だろう思ったのに、予想外のことを言われた。

「お前に彼氏ができたから」
「えっ?」

 何、意味わかんない。えっ!?

 私は食事の手を止めて向かい側に座る柚葵をじっと見つめた。

「あれ? 柚葵……私が恭一さんと付き合ってるの、知らなかったよね?」

 柚葵はしばらく真顔で私の顔を凝視してから、ふっと笑った。

「冗談に決まってんだろ。綾チャンは素直だねえ」
「なっ……」

 なんなの!?
 まともに受けとった私がバカみたい。

< 105 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop