俺様同期の執着愛
「ねえ、そういえば来月の社員旅行どうする?」

 話題が変わって私はほっと安堵した。

「あたしは今回パスかなあ」
「そっかあ。綾は?」

 訊かれて私は「行くよ」と答えた。
 社員旅行は自由参加だけど、私は毎年参加している。
 特にやることもないし、同期同士でわいわいするのが楽しいから。

「そういえば柚葵、去年来なかったよね」
「あ、そうそう。入社してからずっと来てたのに、なんでかなってみんな不思議がってたよね」
「彼女できたんじゃなかった?」
「知らない。柚葵って自分のことぜんぜん話さないもんね」

 私は「どうなんだろうね」って話を合わせておくことしかできなかった。
 まさか柚葵と男女の関係になっているなんて、言えるわけがない。

 ランチを終えてふたりと別れ、自分のオフィスへ戻ったところに、柚葵から肩をぽんと叩かれた。

「あ、柚葵」
「大丈夫か?」
「うん。さっきはありがと」

 私が礼を言うと、彼はいつもみたいな冗談っぽい感じではなく、わりと真剣な顔でぼそりと言った。

「お前のせいじゃないからな」
「えっ」

 柚葵はそのまま自分のデスクに戻っていった。

 励ましてくれたのかな?
 最初は柚葵も(薔薇のことで)彼女たちと同じ反応だったけど、なんか最近、妙に優しい。
 気を使ってくれているのかな。

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