俺様同期の執着愛
「柚葵、こんなところで……」

 彼のマンションに着いたら、玄関で靴も脱がずに彼に抱きすくめられてしまった。
 私を抱える彼の腕は力強く、どこか焦っているような感じがする。

「ごめん。俺、もう我慢できない」
「なに言ってんの、そんな急かさなくても……」
「だって俺、けっこう我慢してんだよ」

 耳もとで唇を押し当てられてそんなことを言われた。
 熱のこもった彼の指に腰を撫でられると、全身がわずかに震えた。
 心よりも、先に体が反応してしまう。

「柚葵の欲求の管理なんて、私にはできないよ」

 声が震える。
 鼓動が高鳴り、手も少し震えて、でもなぜか体の奥から熱がわいてくる。

「綾……」

 柚葵は私の腰を抱いたままくるりと反転させると、そのまま壁に押しやった。
 少し目線を上げるとそこに、まったく余裕のない表情の柚葵が私を見下ろしている。

「……ゆず、き」
「綾、お前がほしい」

 どくんと胸が高鳴って、同時にずきりと痛みを感じた。
 柚葵のほしいっていう意味は、私の体がほしいってこと。
 わかっているはずなのに、胸の奥が針で刺されたみたいにじくじく痛んだ。

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