俺様同期の執着愛
「まだ誰とも付き合う気がないわけ?」

 俺は酔った勢いで綾芽に訊ねた。
 彼女はほんのり頬を赤く染めて眉をひそめる。

「まったくないなあ。ひとりが気楽でいいもん。仕事も慣れてきたところだし、もっと頑張りたい」
「ふうん。そうか」

 つまり、俺はまったく脈なしだった。
 それでもよかった。とりあえず綾芽が独り身ならそれでいい。そう思っていたのに、わずか1年後、思いもよらないことが起こった。

 綾芽に彼氏ができたという噂を耳にしたのだ。
 その兆候はあった。最近、綾芽が髪を明るめに染めていたからだ。イメチェンにしては何かあったなと思ったが、そういうことだったのだ。

 彼女の相手が誰なのか、誰も知らなかった。だからてっきり会社の人間ではないだろうと誰もが思っていた。
 しかし、俺はある日気づいてしまった。

 取引先の武本恭一がわが社を訪れていたときのこと。彼が綾芽と親密に話していたのを目撃した。
 会社にはドリンクスペースという休憩所がいくつかある。そこにはソファ席やテーブル席があり、自販機がある。
 中央の休憩スペースはわりと人が多い。しかし北側の休憩スペースは昼間以外はほとんど人がいない。なので武本と綾芽はそこでふたりで会っていたのだ。

 なぜ俺が知っているのか?
 それは綾芽をつけまわし……いや、見守っていたからだ!

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