俺様同期の執着愛
「そ、それは……」

 恭一さんは狼狽えながら何か言いかけたけど、他に人が2、3人来たので慌てて口をつぐんだ。
 こういうところはきちんとしているんだよなあ、と私は呆れを通り越して冷めた気持ちになる。

「そ、そうか……君のような優秀な社員がいて、上司もさぞ安心だろうな」

 いきなり取り繕うように言われても、意味がわからないけれど、周囲に私との関係を知られたくないのだろう。
 私にとっても好都合だ。

「ということなので、私の連絡先は削除してください。社内でも声をかけないでいただけますか。では、失礼します」

 努めて平静を装い、淡々と告げてから踵を返す。

 背後から追いかけてくる気配はなかった。
 いや、そんなことはわかっていた。
 彼にとって何より大事なのは世間体だ。人からどう見られるかが最優先で、感情よりも体裁を守ることに必死な人だから。

 かつての私は彼の顔を立てるために、その振る舞いに合わせてきた。
 だけどもう、疲れてしまった。

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