俺様同期の執着愛
 雪が柚葵の髪にそっと絡んでいく。
 吐く息は白いのに、彼のたった一言で空気が一変した。
 体の奥に熱が広がっていく。恥ずかしくて頬まで熱くなる。
 だけど、私の頭はいくらか冷静で、ずっと思っていることを静かに口にした。

「そ、そんなの……知ってる。柚葵が、私の体を好きなことくらい」
「違う。お前が、好きだ。ずっと、好きだった」
「え……言っている意味が、よく……」
「入社したときからずっと、お前のことが好きだった」
「嘘でしょ……?」

 衝撃で頭が混乱する。
 硬直して動けないまま、ただ彼の目を見つめる。
 その視線に耐えきれなくなったのか、柚葵は赤面しながら気まずそうに視線をそらした。

「あーくっそ……こんな感情的になって言うつもりなかったのに」

 柚葵は困惑を隠せない表情で、苛立つように髪をくしゃくしゃと掻く。
 私はどう返せばいいか悩みながら、おずおずと疑問を口にした。

「え……じゃあ、最初からそう言って、くれれば」

 もっと早く気持ちを伝えてくれていたなら、無理に体の関係になる必要なんてなかったのに。
 きちんと恋人として始められたはずなのに。
 そんな思いが次々と浮かび、言葉にはならず喉に詰まっていく。
 すると柚葵が、普段の強気を失った声でぼそりと呟いた。

「拒絶されるのが怖かった」

< 156 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop