俺様同期の執着愛
 柚葵が自信なさそうな顔をしている。
 そんな表情の彼を見ることはめったにないので、私は驚いてしまった。

「俺、お前のことになると余裕ないんだよ。嫌われたくないから、いい同僚のふりして近づいて、害のない奴だと思わせて少しずつ距離縮めてさ」

 柚葵の告白は、私の胸に重く響きわたる。
 面倒なことを嫌う彼が、そんな遠回りまでしていたなんて。
 その行動にどれだけの想いが込められていたのか、私はようやく知った。

「お前が武本と付き合ってることを知ってショックで、あのときが一番凹んだ。去年俺が旅行に来なかった理由はそれだよ」

 どきりとした。同時に思い出す。

『お前に彼氏ができたから』

 あのとき柚葵が言った言葉は、冗談ではなかったの?

「そっか。やっぱり柚葵は私が恭一さんと付き合っていることを知っていたんだね?」
「ああ、知っていた。だって俺、お前のことずっと見てるから」

 柚葵のまっすぐな視線が私を射貫く。彼の表情が私には眩しく映る。
 どうしよう。めちゃくちゃ嬉しい。
 柚葵の言葉の一つ一つが胸の奥に沁みわたっていく。

< 157 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop