俺様同期の執着愛
【柚葵のターン】

 慣れていない、という綾芽の告白に俺は呆然とした。
 1年も付き合ってまさか経験がないわけないだろと思ったが、一応訊いてみる。

「綾、お前もしかして初めて?」
「ち、違うよ。でも、こんな、長くなかったっていうか……」

 もしかして嫌なのか?
 さっさと済ませろと言っているのか?
 それは無理だ。俺が満足できない。
 どうしよう。綾芽が嫌ならこれ以上はやめておくか。
 多少残念だが相手が嫌がることを無理やりするのも気が引ける。

「嫌ならさっさと進めるけど」
「違うよ。嫌じゃない」

 うつ伏せの状態でシーツをぎゅっと握りしめる綾芽の肩が薄暗い視界でわずかに揺れているのを感じた。それを見ると綾芽が無性に弱々しく壊れ物のように思えて余計にいじらしくなった。

「慣らさないと痛いだろ」
「大丈夫だよ。痛いのは我慢できるから」
「は?」

 それを聞いて胸の奥から怒りが湧いてくるのを感じた。

 綾芽は元カレにどんな扱いを受けてきたんだ?

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