俺様同期の執着愛
 平常心よ。いくら柚葵でも私とそういう関係になったからって私にぴったり付きまとうわけないわ。ていうか、割り切った関係なのに彼が私に興味を持つわけがない。私の体に興味はあってもね。

「柚葵はさぼってるの?」
「バカ言え。真面目に仕事してんだよ」
「うそだ。よく資料室で昼寝してるって先輩が言ってたよ」
「それ一回だけな」
「うわ、あるんだ。サイテー」
「うるせえ。二度はない」

 柚葵は不貞腐れた顔で私に背中を向けて棚の中から資料を取り出し、それに目を通した。
 私はつい、彼の背中をじっと見つめてしまった。

 普段はまったく気にしなかったけど、大きな背中。実際抱かれていたときも彼の体格は意外にもがっちりしていた。細身のスーツを着ているから細く見えていただけで、実はちゃんと鍛えているんだなって思った。

 目線を上に向けると柚葵の顔。黒髪短髪でさらっとした前髪と長いまつ毛が綺麗。

 実は柚葵はモテる。本人は自覚ないけど。
 営業部の次期エースだし、整った顔立ちにすらりとした長身。他の部署の子たちからも人気がある。だから、私は入社してからずっと柚葵は男性として対象外だった。

 彼は絶対に私みたいな平凡な女を彼女に選んだりしないだろうって思っていたから。

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