俺様同期の執着愛
【綾芽のターン】

 やっぱり柚葵の元カノはあの人だったんだ。

 部署の違う人のことはあまりわからないけど、彼女はよく見かける。社内でも派手めな格好でいつもブランドのバッグを持って出勤してるから。
 私たち同期のあいだではちょっと話題になったことがある。際どいくらい短いスカートを着て歩きにくそうな高いヒールを履いている。
 噂では1時間に1回メイク直しをしているとか、同じ恋人と3カ月以上続かないとか。

 すべてが真実とは限らないけど、これだけはわかる。
 私が仲良くできる人ではないということ。

 そっかあ。柚葵はああいう人が好みなんだ。
 私なんか真逆だから柚葵のストライクゾーンに片足さえ突っ込んでないんだろうな。

 本当に柚葵は私の体だけが気に入っているのだと再確認させられる出来事だった。なんか針で刺されたみたいに胸が痛い。

「ごめんな。嫌な気分にさせたか」

 なんで柚葵が謝るの?
 まるで俺の身内がごめんみたいな言い方。
 余計に気にしてしまうよ。

「気にしないことにするよ」

 それは自分に言い聞かせたつもりだった。

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