俺様同期の執着愛
【綾芽のターン】

 なあーにがお母さんよ、お母さんじゃないよ!

 なんか無性に腹が立ってきた。
 お見舞いに来たのは私の勝手だし、柚葵は来るなって言ったのに無理やり来たわけだし、柚葵だって世話してくれる人なら誰だっていいわけで。

「ねえ、柚葵のお母さんと私は似てるの?」
「……根に持ってんの?」
「そりゃお母さんと一緒だって言われたらね」
「そっか、悪い。例えがよくなかったな。似てねぇよ。俺の母親、ふわっとしてるし」

 ふわっと……?
 私は綿飴に乗ってる人を思い浮かべてしまった。

「自己主張しない人。まあ、俺3番目だし基本放置で育ったんでよくわかんねぇ」
「3人兄弟なの? お兄ちゃん? お姉ちゃん?」
「上から兄、姉、俺」
「へえ、賑やかそう」
「食いもんの喧嘩は凄まじかったな」

 い、意外だ。
 柚葵ってお兄ちゃんタイプだと思ったのに、まさかの弟だったんだ。

「なあ、お前は?」
「私はしっかり者の妹がいるよー。いつも私が叱られちゃう」
「なるほど。綾って長女って感じだもんな。世話するの好きだろ」
「好きじゃないよー」

 とはいえ、たしかに私は世話する側だなあ。
 恭一さんと付き合ってたときも、どれだけ彼の世話をしても苦じゃなかった。むしろそれが喜びだったし、今も柚葵のお世話をするのがたまらなく嬉しい。

 嬉しい――?

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