俺様同期の執着愛
 即席で野菜スープを作った。
 食べられる頃合いになると火を止める。

「柚葵、すぐ食べる? それとも……わっ」

 柚葵が背後から抱きついてきた。

「な、何……」
「綾、ありがと。まじ嬉しい」
「も、もうー。どうしたの? 柚葵らしくないよ」
「だよな。俺、今なら綾にすげー優しい言葉がかけられる気がする」
「あんた、熱が上がったんじゃない?」

 私は顔の横にすり寄ってくる柚葵の頬に手を当てた。

「あっつい。熱いよ、柚葵。冗談じゃなく熱が上がってるよ」
「気のせいだろ」
「そんなわけないでしょ。それに汗もかいてる」

 柚葵が私から離れた瞬間ふらりと体勢を崩しそうになったので、私はすぐに肩を支えた。

「ほら、寝てなきゃだめだよ。でも着替えたほうがいいかも。汗も拭いて……」
「拭いてくれる?」

 柚葵がぼんやりした顔で、切なそうな声で、そんなことを言うものだから、私は断ることができなかった。

「わかった」

 柚葵を抱えて寝室へ向かう。
 野菜スープはあとで持ってこよう。

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