俺様同期の執着愛
「なんで柚葵がムカつくの? 意味わかんな……」
「お前は飾らなくていいんだよ」
「え?」

 柚葵はおもむろに上半身を起こし、私の上に覆いかぶさると、私の顔の横に手をついた。
 驚いて固まっている私を、柚葵が真っ赤な顔で見下ろしている。
 あきらかに体調が悪そうで、すぐにでも彼を横にさせなきゃいけないのに、私は固まったまま動けなくなった。

「綾は素が綺麗だから化粧なんかしなくていい」
「ゆ、ず……」
「そのままでいいんだよ。あいつの言うことなんか聞かなくていい」
「あの……」
「綾は、綺麗だ」

 ものすごく熱烈な告白をされている気分になって、私のほうが発熱したみたいに顔が熱くなった。

 今日の柚葵は変だ。けれど、それは熱のせいだから話をまともに聞いちゃいけないのかもしれない。
 わかっているけど、私の胸の鼓動は急速に高まっていく。

「綾芽」

 どきりとした。
 柚葵はいつも私のこと綾って呼ぶのに、そんな呼び方されたら変に勘違いしてしまう。
 柚葵はゆっくりと確実に、私に顔を近づけてきた。
 このままだとキスをしてしまうかもしれない。

 キスはなしだって言ったのに、なんで――?

 ぎゅっと目をつむると、柚葵は私の肩に顔をうずめてぐったりした。

「ちょっと、柚葵! だからちゃんと寝なきゃだめだって」
「……しぬ」
「もう、バカ!!」

 ドキドキして損した。

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