敏腕システムエンジニアの優しすぎる独占欲〜誰にでも優しい彼が、私にだけ甘すぎる〜
「木崎、このあとって時間ある?」

片付けがひと段落し、ひと息ついたタイミングで、藤堂さんがふいにそう切り出した。

「え? あ、はい、特に予定はありませんけど……」

突然の問いに戸惑う私を見て、彼は少し目を伏せ、気恥ずかしそうに小さく息をついた。

「部屋を片付けてもらったお礼がしたい。良かったら、どこか出かけない?」
「お礼なんて、そんな……」

恐縮して言葉を濁したけれど、彼の申し出が純粋に嬉しかった。
けれど、私が遠慮して断ることを察したのか、藤堂さんは柔らかく微笑んで、優しく言葉を重ねる。

「俺がしたいんだ。木崎が頑張ってくれたのに、何もしないのは嫌だから」

その静かなけれど真剣な眼差しに、胸が温かくなった。

「……じゃあ、お言葉に甘えて」

男性と出かけるなんていつぶりだろう。ここ数年京介とだって2人で出かけることなんてなかったから。

そわそわする気持ちを抑えながら、急いで準備を整える。
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