しゃべりたかった。
3
今日も保健室へ行った。
前先生から提案された、“あいさつ”をやってみることにした。
「お、おはようございます……」
小さい声だったけど、なんとか言えた!
先生が気づいてくれ、わたしの方に来た。
そして、
「おはよう。凄い、言えたじゃん!」
と言ってくれた。わたしは嬉しかった。
宿題を終えると、先生に伝えたいことを紙に書いた。
先生に渡すと、すぐに返事をくれた。
内容は、本を作っているということ。
返事には
ええ!凄いじゃん。作家デビューだね!そんな才能があったとは!本販売したら先生買うね!
と書かれていた。
わたしは思わずえへへ、と言ってしまった。
保健室に誰かがやってきた。もう誰かが来るのには慣れていたが、同年代の子となると別だった。
それも、綾乃ちゃん。1番会いたくない相手だった。
「あら?どうしたの?」
先生が綾乃ちゃんに言う。
「これ。」
綾乃ちゃんが先生になにやら紙を渡していた。
そして、すぐに出ていった。
わたしはほっと胸を撫でおろした。
先生がわたしの元へ来ると、綾乃ちゃんが渡していた紙を見せてくれた。
それは、卒業文集のものだった。
キョトンとするわたしに、先生が説明してくれた。
「梨沙ちゃん文集係になったの。ほら、絵が得意って言ってたでしょ?だからいいかなあと思って。」
わたしはなるほど、とうなずいた。
そして、紙を受けとると、さっそく絵に取りかかった。
「梨沙ちゃん、卒業式はどうするんだっけ?」
と先生に聞かれた。
わたぃは紙に書いて渡した。
読んでいた先生は、目を見開いていた。
だって、参加します、と書かれていたんだから。
「うそ、参加するの?!」
先生が言う。わたしはこくっとうなずく。
決めたんだ、参加するって。
先生は嬉しそうな顔で言った。
「嬉しいよ、でも…」
すぐに心配そうな顔持ちになった。
「我慢してない?本当に?だいじょうぶ?」
先生が言う。わたしは再びうなずく。
本心から、参加すると決めた。先生やお母さんを思ってっていうのもあるけど、やっぱり参加したい気持ちがあった。
最後の大事な行事、みんなと最後のイベント。
参加しないと後々後悔しそうだし。
先生に思いが伝わったのか、先生は言った。
「そうだね。頑張ってね。」
わたしはうなずいた。
お母さんにもこのことは伝えてある。お母さんも最初は不安そうだったけど、わたしの思いを伝えたら、わかってくれた。
家に帰り、わたしは再び本の作業をする。今はパソコンで本文を打っているところだ。
そもそも、場面緘黙症になったのは、いつからか考えてみた。
やっぱり、綾乃ちゃんのことがあってからな気がする。
まだ綾乃ちゃんが怖くて、見ることさえできないけど、いつかきちんと向きあいたい。
そして、またあの頃のように仲良しになりたい。
そう思った。
前先生から提案された、“あいさつ”をやってみることにした。
「お、おはようございます……」
小さい声だったけど、なんとか言えた!
先生が気づいてくれ、わたしの方に来た。
そして、
「おはよう。凄い、言えたじゃん!」
と言ってくれた。わたしは嬉しかった。
宿題を終えると、先生に伝えたいことを紙に書いた。
先生に渡すと、すぐに返事をくれた。
内容は、本を作っているということ。
返事には
ええ!凄いじゃん。作家デビューだね!そんな才能があったとは!本販売したら先生買うね!
と書かれていた。
わたしは思わずえへへ、と言ってしまった。
保健室に誰かがやってきた。もう誰かが来るのには慣れていたが、同年代の子となると別だった。
それも、綾乃ちゃん。1番会いたくない相手だった。
「あら?どうしたの?」
先生が綾乃ちゃんに言う。
「これ。」
綾乃ちゃんが先生になにやら紙を渡していた。
そして、すぐに出ていった。
わたしはほっと胸を撫でおろした。
先生がわたしの元へ来ると、綾乃ちゃんが渡していた紙を見せてくれた。
それは、卒業文集のものだった。
キョトンとするわたしに、先生が説明してくれた。
「梨沙ちゃん文集係になったの。ほら、絵が得意って言ってたでしょ?だからいいかなあと思って。」
わたしはなるほど、とうなずいた。
そして、紙を受けとると、さっそく絵に取りかかった。
「梨沙ちゃん、卒業式はどうするんだっけ?」
と先生に聞かれた。
わたぃは紙に書いて渡した。
読んでいた先生は、目を見開いていた。
だって、参加します、と書かれていたんだから。
「うそ、参加するの?!」
先生が言う。わたしはこくっとうなずく。
決めたんだ、参加するって。
先生は嬉しそうな顔で言った。
「嬉しいよ、でも…」
すぐに心配そうな顔持ちになった。
「我慢してない?本当に?だいじょうぶ?」
先生が言う。わたしは再びうなずく。
本心から、参加すると決めた。先生やお母さんを思ってっていうのもあるけど、やっぱり参加したい気持ちがあった。
最後の大事な行事、みんなと最後のイベント。
参加しないと後々後悔しそうだし。
先生に思いが伝わったのか、先生は言った。
「そうだね。頑張ってね。」
わたしはうなずいた。
お母さんにもこのことは伝えてある。お母さんも最初は不安そうだったけど、わたしの思いを伝えたら、わかってくれた。
家に帰り、わたしは再び本の作業をする。今はパソコンで本文を打っているところだ。
そもそも、場面緘黙症になったのは、いつからか考えてみた。
やっぱり、綾乃ちゃんのことがあってからな気がする。
まだ綾乃ちゃんが怖くて、見ることさえできないけど、いつかきちんと向きあいたい。
そして、またあの頃のように仲良しになりたい。
そう思った。