しゃべりたかった。
4
今日も保健室に来ていた。
もう保健室に登校を初めて一ヶ月がたった。
わたしはだんだんと通うこと、学校に慣れてきた。
あいさつも普通の大きさで言えるようになったし、先生とはちょっとだけど話せるようになったし…。本当に保健室登校を始めてよかったと思った。
今の目標は綾乃ちゃんと話すこと。あとは、文集を仕上げるのと、本を出版社に送ること。
まずできそうなのは文集を仕上げること。あと色を塗ればおわりで、今やっているから。本に関しては、明日送ろうと思っている。綾乃ちゃんとは…もうすこし後になるかもしれない。
10分もしないで文集はおわった。なので、いつも通り宿題をやることになった。
と、宿題をやっていると…
ガラッと音がして誰かが入ってきた。綾乃ちゃんだった。なんだか具合が悪そうにしていた。
先生が急いで綾乃ちゃんの方へ駆けた。
「どうしたの?」
「ちょっと頭痛がして…ベット借りてもいいですか。」
「もちろん。」
綾乃ちゃんはわたしの側のベットに横になった。
わたしは気になりつつも、宿題をした。
ちょっとすると、またドアが開いた。今度は生徒ではなく、先生だった。
「桜坂先生いいですか。」
「あれ?ちょっと呼ばれたから行くわね。」
と言い、先生がいなくなってしまった。
先生たちがいなくなり、わたしはあれ、と思った。
今、綾乃ちゃんとふたりっきりなんじゃ…これはチャンスなんじゃ…?
ベットに寝ている綾乃ちゃんの方を向いた。
「あ…や…の…ちゃん…」
なんとかそう言うと、綾乃ちゃんの「何?」という声が聞こえた。
「あの時なんであんなことしたの!」
わたしが言うと、綾乃ちゃんは
「あの時って?」
と言った。
「わたしに意地悪してた時だよ。それが原因で学校来れなくなったんだから…!」
わたし自身自分に驚いていた。こんなにしゃべれたのかと。
「…ごめん。」
綾乃ちゃんが小さく言った。
「理由を知りたいの。あ、あと、また仲良くしたいなって…」
最後の方は小さくなってしまった。案の定、綾乃ちゃんは聞きとれていなかった。
「え?」
「また仲良くしたいなって!!」
「…何で?」
何で…たしかに何でだろう。でもなぜかそう思ったんだ。
言う言葉を探していると、綾乃ちゃんが言った。
「理由だけど、当時自分が親に叱られてばかりでストレスが溜まっていたの。それを梨沙にぶつけていたのかもしれない。梨沙なら言いかえしてもこないだろうし、強いて言えば1人で泣くぐらいかなって。」
わたしはぐっとした。
たしかにそうだ。わたしは不満を誰かに言えるタイプじゃないし、人前で泣けるわけでもない。だから、わたしが狙われたのだろう。友だちということもあるけど、綾乃ちゃんには他にも友だちがたくさんいる。でも気が強い子ばかりだったから、わたしにばかり意地悪してきたのだろう。
「…でもっ…わたしは辛かったよ…」
わたしは泣きながら言った。
「…だからって人にぶつかっちゃダメ…」
綾乃ちゃんはうなずいて言った。
「そうだよね。ごめん。反省してるよ。」
わたしは涙をふいた。
「もうあんなことしないから、また私と仲良くしてくれる…?」
綾乃ちゃんが言う。
わたしから言おうと思ってたのに!まあいいや。
「…うん。約束だよ。」
綾乃ちゃんとゆびきりげんまんして、綾乃ちゃんはベットに、わたしはイスに戻った。
いいタイミングで先生が戻ってきた。
しばらくすると、綾乃ちゃんの体調がよくなったようで、保健室を出ていった。
――2つの目標、クリア!
とわたしは心で思った。
わたし、ちゃんと成長してる、とも思った。
でももう3日分くらいしゃべって、ドッと疲れた。
家へ帰ると、出版社に送るのは明日にして、横になった。
もう保健室に登校を初めて一ヶ月がたった。
わたしはだんだんと通うこと、学校に慣れてきた。
あいさつも普通の大きさで言えるようになったし、先生とはちょっとだけど話せるようになったし…。本当に保健室登校を始めてよかったと思った。
今の目標は綾乃ちゃんと話すこと。あとは、文集を仕上げるのと、本を出版社に送ること。
まずできそうなのは文集を仕上げること。あと色を塗ればおわりで、今やっているから。本に関しては、明日送ろうと思っている。綾乃ちゃんとは…もうすこし後になるかもしれない。
10分もしないで文集はおわった。なので、いつも通り宿題をやることになった。
と、宿題をやっていると…
ガラッと音がして誰かが入ってきた。綾乃ちゃんだった。なんだか具合が悪そうにしていた。
先生が急いで綾乃ちゃんの方へ駆けた。
「どうしたの?」
「ちょっと頭痛がして…ベット借りてもいいですか。」
「もちろん。」
綾乃ちゃんはわたしの側のベットに横になった。
わたしは気になりつつも、宿題をした。
ちょっとすると、またドアが開いた。今度は生徒ではなく、先生だった。
「桜坂先生いいですか。」
「あれ?ちょっと呼ばれたから行くわね。」
と言い、先生がいなくなってしまった。
先生たちがいなくなり、わたしはあれ、と思った。
今、綾乃ちゃんとふたりっきりなんじゃ…これはチャンスなんじゃ…?
ベットに寝ている綾乃ちゃんの方を向いた。
「あ…や…の…ちゃん…」
なんとかそう言うと、綾乃ちゃんの「何?」という声が聞こえた。
「あの時なんであんなことしたの!」
わたしが言うと、綾乃ちゃんは
「あの時って?」
と言った。
「わたしに意地悪してた時だよ。それが原因で学校来れなくなったんだから…!」
わたし自身自分に驚いていた。こんなにしゃべれたのかと。
「…ごめん。」
綾乃ちゃんが小さく言った。
「理由を知りたいの。あ、あと、また仲良くしたいなって…」
最後の方は小さくなってしまった。案の定、綾乃ちゃんは聞きとれていなかった。
「え?」
「また仲良くしたいなって!!」
「…何で?」
何で…たしかに何でだろう。でもなぜかそう思ったんだ。
言う言葉を探していると、綾乃ちゃんが言った。
「理由だけど、当時自分が親に叱られてばかりでストレスが溜まっていたの。それを梨沙にぶつけていたのかもしれない。梨沙なら言いかえしてもこないだろうし、強いて言えば1人で泣くぐらいかなって。」
わたしはぐっとした。
たしかにそうだ。わたしは不満を誰かに言えるタイプじゃないし、人前で泣けるわけでもない。だから、わたしが狙われたのだろう。友だちということもあるけど、綾乃ちゃんには他にも友だちがたくさんいる。でも気が強い子ばかりだったから、わたしにばかり意地悪してきたのだろう。
「…でもっ…わたしは辛かったよ…」
わたしは泣きながら言った。
「…だからって人にぶつかっちゃダメ…」
綾乃ちゃんはうなずいて言った。
「そうだよね。ごめん。反省してるよ。」
わたしは涙をふいた。
「もうあんなことしないから、また私と仲良くしてくれる…?」
綾乃ちゃんが言う。
わたしから言おうと思ってたのに!まあいいや。
「…うん。約束だよ。」
綾乃ちゃんとゆびきりげんまんして、綾乃ちゃんはベットに、わたしはイスに戻った。
いいタイミングで先生が戻ってきた。
しばらくすると、綾乃ちゃんの体調がよくなったようで、保健室を出ていった。
――2つの目標、クリア!
とわたしは心で思った。
わたし、ちゃんと成長してる、とも思った。
でももう3日分くらいしゃべって、ドッと疲れた。
家へ帰ると、出版社に送るのは明日にして、横になった。