好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
っていうか先輩ってあたしにかっこいいって思われたいんだ!



それがかわいい。



なんて言ったらまた先輩がしゅんってなっちゃうかな。



黙ってよう。



そのとき、クラスの男装した女の先輩が「風里リップ落ちてんじゃん~」と言って近づいてきた。



それからポケットからリップを取り出して風里先輩に塗ろうとする。



先輩が嫌そうに顔をしかめてる。



あたしもそれ、嫌です!



あたしは思わず先輩の両手を持ってあたしの方にぐっと引き寄せた。



「あたしが塗ります…」



そう言ってその先輩のことをむっと見た。



引きつり笑いのその先輩と、キョトンとした顔の風里先輩。



あたしは風里先輩の顔をじっと見た。



「なに? ヤキモチ?」



あたしはコクンとうなずいた。



先輩がアハハと笑ってあたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。



「じゃあお願いしようかな?」

「はい…。じっとしてください」



あたしは自分のポーチから今日のために持ってきたリップを出す。



先輩が微笑みながら目を瞑った。



なんかこれはこれでドキドキする…。



チューしてるみたいな…。



そっとリップを塗って、塗り終わったら先輩がゆっくり目を開けた。



「これ、間接チュー?」



そう言って笑った。



「えっ…そうなのかな…」



あたしはドギマギしてしまう。



穂高先輩がちょっと呆れた顔をしている。



「見せつけてくるなよ」



そ、そんなつもりじゃ…。



恥ずかしい…。
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