好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「あ、これなんですか?」



あたしは一つの写真に目が留まる。



「これはね~、旅行に行ったときに目にした天使の梯子と悪魔の庭」



雲の切れ間から光が地上に向かっていくつも差し込んでいて、その奥には暗い影を宿した重い雲が一枚の写真におさめられてる。



きれい…。



「天使の梯子っていうのは元々ある言葉だけどね。それに対比して奥にあるのが悪魔の庭に見えたんだよね」



先輩はそう言ってちょっと恥ずかしそうに笑った。



「先輩の目には、あたしたちと違う世界が見えてるんですね…!」



そう言って、先輩の顔を下から覗き込んだ。



先輩が一瞬面食らった顔になる。



それから、あたしの顔を手のひらで無言でつかんだ。



「…!? 何するんですか…!」

「…ごめん、つい」



つい…?



つい人の顔をつかむなんてことある…?



まあいいけど…。



それから一時間、あたしは先輩に色んな作品を見せてもらった。



やっぱりちょっと高嶺の花なのかも…。



2人で過ごす時間が嬉しくて、だけどちょっと切なかった。
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