好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
風里先輩が浮気とかはあり得ない。



あんなに誠実でまっすぐな人がそんなことするはずない。



それに何よりあたしのことしか見えないっていうのが伝わる…。



こんな風に自信を持って風里先輩のことを考えていられるのが嬉しい…。



「でもさ、いつもより優しいって普通は浮気を疑うじゃん?」

「まあそれは…」

「まあ風里くんに限ってそんなことはないと思うけどさ~」



浮気はあり得ないとして、なんで雰囲気が変なのかは気になるところ…。



あたしに何か隠し事…?



なんだろう…。



先輩のことを信じてるから別に不安とかはないけど気にはなるな…。



「そ、それより、亜子さんは結くんとどうなんですか!?」

「この前旅行行った!」



そう言って旅行の写真を嬉しそうに見せてくれた。



楽しそう~。



2人とも良い顔で笑ってる。



結くんがこんなやわらかい顔で笑ってる…。



上手く行ってるみたいで嬉しいな…。



それからその日のバイトが終わって、迎えに来てくれた先輩と一緒に家路についた。



「先輩、大学楽しいですか?」

「そうだねえ…、課題も多いけど楽しいよ」

「友達はできましたか?」

「いやーできないねえ…、ずっと直くんと加奈乃ちゃんといる…」

「なんか悩みとかあります?」

「えっ? うーん…ないかな…」



ありそう…。



先輩と2年以上付き合ってきて、先輩のことは多少は理解してるつもり。



でも先輩があたしに言わないってことは何か理由があると思うから無理に聞くわけにもいかない。



あっ…。



あることに思い至るあたし。
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