好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「にしても…風里はすげえな」

「なにが?」

「今度個展開くんだろ?」



そう…。



大学入学後も自分の作品づくりに精を出していたら、なんやかんやで軽く有名になった俺。



在学中にも関わらず個展を開けることになった。



ありがたいことだよね~…。



個展ってことは自分の思ったような作品を思い切りつくっていいのも嬉しい。



今は個展に向けて作品づくりを頑張ってる。



その日は、20歳になった俺と穂高で軽くお酒を飲んでから解散した。



今日も小糸ちゃんの家に帰ります…。


「小糸ちゃん~」

「なんですか?」

「かわいいね」

「急になに…?」



多分酔っぱらってるんだと思う…。



そんなにお酒は弱くないはずだけど、今日は久しぶりにみんなに会ったからね。



気も緩んで酔いが回ったのかも。



終始ニコニコしてる俺に、小糸ちゃんは俺の頭をなでなで。



「酔っぱらってる先輩の方がかわいいですよ」

「へへ~」

「ほら、かわいい…」



小糸ちゃんに褒められるならなんだって嬉しいよ~。



「小糸ちゃん~」

「はい?」

「結婚したいね」



俺がそう言うと、小糸ちゃんが恥ずかしそうに笑ってうなずいた。



「あと小糸ちゃんに似てる子供も欲しいな。女の子がいい」

「そこまではっ、まだ早いです…」

「そんなに遠い未来じゃないでしょ?」



俺の言葉に、小糸ちゃんは俺の手をきゅっと握って。



小糸ちゃんと一緒に歩んでいける未来が俺は待ち遠しいの。



今すぐにだって小糸ちゃんと一緒になりたい。



部屋に入ってすぐにするキス。



すっかり慣れてくれた一緒のお風呂も。



「小糸っ…。名前…よんで?」

「ふう…り先輩っ…」



重ねていく体のぬくもり。



大事すぎてどうしたって手放せない。



ぜんぶ俺のものだよ。
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