好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
どこで電話してるか分からないけど風邪引かないかな…。



電話の奥からは相変わらずにぎやかな声。



「せんぱーい! せんぱい!」

≪…うん?≫

「寝るならベッドで寝ましょう!」

≪うん…≫

「約束ですよー!」

≪…≫



あーあ、何も返事がなくなっちゃった…。



大丈夫だろうか…。



それからいくら呼んでも答えなくなっちゃったので、しぶしぶ電話を切ることにした。



次の日、先輩から『ごめん、あんま覚えてないんだけど俺寝落ちした?』とメッセージが来てた。



『ばっちりしてました』

『ごめんね…』

『ちゃんとベッドで寝れました?』

『寝れなかった…』

『かわいそう…』



先輩からズーンと沈んだくまのスタンプが送られてきた。



スタンプで返されるときはちょっと悲しくなっちゃう。



あたしともう会話したくないのかな…とか。



会話続けたいと思ってないんだな…とか。



だけど落ち込んでいたら、続けて『バイト頑張ってね』とメッセージが来てた。



きゅん…。



嬉しくなっちゃった…。



超がんばります…。



それからもしばらく夏休み中は先輩とこまめに連絡してた。



日常の何気ないことを報告し合ったり。



それでも幸せだけど、先輩と付き合ったら電話だってもっとできるし、好きって言ってもらえたりできるんだなあ…。



そう思うと、今の関係がなんだか切なく思えて。



先輩にもっとあたしを見てもらえたらいいのに…なんて欲も生まれはじめていた。
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