好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~

かわいい後輩

~風里~

小糸ちゃんはかなり俺になつっこい。



花屋や公園で会うと、尻尾を振ってる子犬みたいに反応してくれる。



最近はメッセージのやり取りも毎日かなりしてて。



メッセージ一つ一つにも、『風里先輩が好き』というのが伝わってくる…。



正直言うとかなりかわいいなー…と思う。



でも期待を持たせることも傷つけることもできず、いつもそれを流しちゃう俺…。



「よくねえな」

「やっぱり…?」

「好きか嫌いかはっきりさせねえと、小糸ちゃんの方がかわいそうだ」



穂高に怒られてしまった。



「いや~べつに、好きだよ?」

「恋愛的な意味でか?」

「それは…」



そうかどうかはちょっと分からない…。



いや、だってさ、好きって言われた時点ではっきり俺が付き合えないって言えばよかったんだよ?



でもそれを逃した今、今更はっきり言うのもなんか違うじゃん?



はっきり言って傷つく小糸ちゃんは見たくないしさあ…。



そんな穂高は、今俺の家。



突然「数学わかんねえ! 写させて!」と言って夏休みの宿題を持ってうちにやってきた。



それで、写すのは拒否して教えてあげてるわけだけど…。



合間に小糸ちゃんとの関係を聞かれたから答えたら怒られた。



もういいよ俺のことは…。



「明莉ちゃんとはどうなの?」

「明莉ちゃん…明莉ちゃんな…」



穂高はそう言ってうつろな目。



「どっか遊びに行こうって誘ったら、またみんなで遊びたいって言われちまった…」

「あーあ、完全に意識されてないね」

「だから、とりあえずまた4人で遊ぼうぜ、お願い」
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