好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「鶴巻ちゃん、あのイケメンと知り合いなの!?」

亜子(あこ)さん…」



4つ上のバイトの先輩、亜子さんに今のシーンを見られていたらしい。



「同じ学校の先輩なんです…」

「うらやましい! あたしああいう顔めっちゃタイプで、前から来るたびずっと見てたんだよね」



亜子さん…。



あたし全然それどころじゃないんです…。



「差し入れにチョコくれるなんて、鶴巻ちゃんのこと好きなんじゃない?」

「亜子さ~ん…」

「えっ? どうしたどうした」



あたしの半泣きの顔で何かを察したらしい亜子さんは、バイト終わりにご飯に誘ってくれた。



「で、あのイケメンとどういう関係なの?」

「風里先輩です…」

「風里くんね。で、どういう関係?」



どういう関係なんでしょう…。



友達じゃないし、当然付き合ってもないし、毎日ちょっとしたことを連絡し合う…ただの先輩後輩の関係だ。



亜子さんに今までの話を全部した。



「そ~れは風里くんが悪い」

「えっ…」

「だって鶴巻ちゃんが好きなの知ってて曖昧な態度取り続けるんでしょ?」

「まあ…」

「そりゃ鶴巻ちゃんも気持ちに整理つけられないよ」



たしかに…。



でも、はっきりとあたしに興味ない姿勢を取られても、それはそれで悲しくて死んじゃうんだけど…。



あんまり風里先輩を悪く言う気にはなれないな…。



「恋は盲目だねえ」

「ですね…」

「手っ取り早く付き合ってくれればいいのに」

「本当ですよね…」



でもそんなこと起きないのが現実…。



片思いってどうやって気持ちにケリつけていいのかさっぱり分からない…。
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