好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
~小糸~

どれだけ先輩のことが好きで、いくら好きだと言っても。



先輩はあたしのことなんかただの後輩としか見てない…。



それがなんとも悲しくて。



先輩があたしのことを好きじゃなくてもいいなんて思ってたけど、そんなの幻想だった。



好きであれば好きであるほど、欲は深くなっていく。



これ以上脈なしを感じ続けてたらあたしがおかしくなる…。



先輩とは、今までほぼ毎日メッセージのやり取りをしてたのに、一切しなくなった。



『無事に家に帰れた?』



あの日、先輩から送られてきたメッセージ。



既読無視しちゃった…。



それ以来、先輩からも何も来なくなって…。



自分で蒔いた種だけど、それが心をぎゅっと苦しめた。



だけど…。



「いらっしゃいま…」



いつも通り、バイト先に来た先輩。



あれ以来、会うのははじめて…。



先輩は、少し悲しそうににこっと笑って、無言で花を選びはじめた。



「はい、お会計お願いします」

「12000円です…」



先輩が静かにお財布からお金を出す。



「ちょうど頂戴します」



先輩に、包んだお花を渡した。



そしたら、先輩がレジ台にチョコをそっと置いて…。



「がんばってね」



そう言って店を出て行った。



先輩…。



やっぱり、すごく好きだよ…。



だけどこの気持ちはどうしようもなくて、痛む胸をぐっとこらえるしかなかった。

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