好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「…そんなの、俺と変わんねえじゃん」

「ううん…全然違うよ。なんでかは分からないけど…先輩だからいいの」

「そう…」



恋って不思議だよね…。



その人のことが大好きでも、好きな気持ちをはっきりと説明できないの。



あたし、こんなに人のことを好きになったのは初めて…。



「結くんは? 好きな人とかいないの?」

「…いるよ」

「そうなの!? だれ?」



あたしが身を乗り出して聞くと、結くんがあたしの頬を黙ってつねった。



「教えねえ」

「え~、なんでよ。あたしの知ってる人?」

「まあな…」



ええ、誰だろう…。



中学校の同級生とか…?



あたしと結くんの仲なのに教えてくれてもいいじゃん…。



まあ内緒にしたいなら尊重するけど…。



それから夜遅くまで結くんとカラオケで遊んで、遅い時間に家に帰った。



家まで送ってくれた結くんに別れを告げて、家に入る。



「ただいまー」

「おかえり…」



お母さんはまたリビングで寝ながらあたしのことを待っていた。



「お母さん、待ってなくていいから」

「ううん、今日は小糸に話があって…」



話?



なんか嫌な予感…。



「市川さんと…一緒に住みたいと思ってるの」

「…」

「だけど、小糸が嫌なのを無理にそうしようとは思ってないから…。どうするか考えておいてほしいの」



そんなの…。



そんなの嫌に決まってる。



嫌なの、お母さん分かってるよね?



それをあたしに考えて決めさせるなんて、ひどいよ…。
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