好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「ごめん、正直…受け入れられない。無理だよ」

「そうだよね…」

「うん、市川さんと一緒に住むなんて考えられない…」



それだけ言って部屋に逃げた。



そんなこと本当は言いたくない。



お母さんに悲しい思いだってさせたくない。



だけど、それ以上に受け入れられないものが大きくて…。



お母さん、どうしても市川さんと一緒にいないとだめ?



あたしだけじゃだめなの?



ちょっと前だったら、こんなことも風里先輩に話を聞いてもらってた。



先輩に話を聞いてもらえたらいいのに…。



先輩とのトーク画面を開く。



『先輩、聞いてください』



何度も打っては消す文字。



こうやって連絡したら、先輩はきっといつも通りに話を聞いてくれる。



だけどそんなことしたらまた同じことになる…。



勇気が出ない…。



結局、送ることは食いしばって辞めた。



なのに…。



『小糸ちゃん、元気?』



トーク画面を閉じようとしたした瞬間、送られてきた先輩からのメッセージ。



なんで…?



っていうかどうしよう、画面開いてたから既読ついちゃった…。



あたしがトーク画面開いてたのバレちゃう…。



あたしは軽くパニック状態。



先輩が送ってきた意図も、あたしがなんて返したらいいのかも。



全部思考停止して訳が分からなくなったあたし。



『めっちゃ元気です!』



なんて、いつも通り勢いよく返事をしてしまった。



ああ…。



こんなの、あたしが傷つくってわかってるのに…。



だけど、先輩から来たメッセージが、やっぱりすごく嬉しかった。
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