好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「あの~…鶴巻? 鶴巻だっけ、多分鶴巻さん、いますか?」



レジのところに立っていたお姉さんに聞いてみる。



お姉さんはちょっと笑ってる。



「鶴巻小糸ちゃんね~。今日はシフト入ってないですよ」

「そうですか…」

「何か用事でした?」

「いえ…」



お姉さんにお礼を言ってお店を出た。



うーん…。



今すぐ会いたいんだけど…。



スマホを出して、小糸ちゃんに電話をかけた。



出ない…。



またあの結人くんといるのかなあ…。



やだなあ…。



いつもの公園に行ってみた。



けど、こんな時間にいるわけないよねえ…。



公園から出ようとした。



そのとき…。



「せん…ぱい?」

「小糸ちゃん…」



おしゃれした小糸ちゃんが公園の前に立ってた。



小糸ちゃんが小走りで俺に駆け寄る。



そして、俺の目の前で、いつもみたいにつまずいた。



俺はそれを受け止める。



小糸ちゃんが、頬を少し赤くして俺を見上げた。



かわいい…。



小糸ちゃんって、こんなかわいかったっけ…。



「先輩…?」



見惚れてる俺に、小糸ちゃんが首をかしげた。



「小糸ちゃん」

「はい…?」

「探してたの」

「えっ…あたしをですか? なんで…」



小糸ちゃんの腕を引いて、公園のベンチに一緒に座った。



俺は、手に持っていた紙袋を小糸ちゃんに渡す。
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