好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「じゃあ俺寝るな~、おやすみ」

「待って悠麗くん!」

「ん?」

「好きって…なに…?」



俺が聞くと、一瞬きょとんとした顔の悠麗くんは、大声で笑った。



「なに、風里、思春期?」

「そういうわけじゃないと思うけど…」

「相手のことで頭いっぱいになって、自分だけのものにしたくて、相手が今どういう気持ちでいるのか気になったら好きってことじゃねえの?」



頭がいっぱいで…自分だけのものにしたくて…今どういう気持ちでいるのか気になって…?



全部当てはまるじゃん…。



俺…小糸ちゃんのこと、好きなんだ…。



そうはっきり認識してしまうと、なんだか腑に落ちるというか…。



もやもやが晴れたような…。



「悠麗くん、ありがとう…」

「お~、がんばれよ~」



そこからの作品づくりはなんだかより一層捗って。



作品の雰囲気も作り始めの頃からがらっと変わった。



なんか明るい感じ…。



俺、分かりやすいな~…。



でも、小糸ちゃんを好きだと認識したらなんだか嬉しくて。



小糸ちゃんから返ってきた『めっちゃ元気です!』という返事も、俺をなんだか元気にさせた。



俺に好きだとアピールし続けてくれた小糸ちゃんに、俺からちゃんと好きだって言わなきゃ。



夜中までかかった作品づくり。



完成したものを箱に詰めた。



次の日、それを紙袋に入れて、俺はいつもの花屋に向かった。



小糸ちゃんいるかな…。



お店に入る。



いない…。
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