好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
~小糸~

風里先輩があたしのこと好きなんて夢みたい。



っていうか夢なんじゃないかな…。



夢かも…。



頬をつねってみる。



痛くない…。



やっぱり夢…?



「…何やってるの?」

「ハッ」



目の前の風里先輩に不思議な顔で見られた。



風里先輩があたしの目の前にいるんだったら夢でもいいや!



「いや〜、先輩があたしのこと好きなんて夢かもなあと思ったのでつねってみました」

「なにそれ、かわいいね。痛かった?」

「痛くなかったです…」

「え〜、じゃあ夢なの? それは俺が困っちゃうな…」



先輩がそう言ってから、自分の頬をつねった。



「あ、大丈夫、ちゃんと痛かった。俺夢じゃないから小糸ちゃんも夢じゃないよ」

「良かった〜」



なんて幸せなやり取り…。



そんな今日は、風里先輩とはじめてのデートです。



前から行ってみたかったかき氷屋さんで、大きいかき氷を2人で分け合って食べる。



ふわふわで甘くて幸せの味。



「おいしい?」

「はい、すごく!」

「良かった。俺はちょっと頭痛くなったから休憩…」



そう言って困り顔でこめかみに手を当てる先輩。



かわいいなあ…。



「先輩ってかわいいですよね」

「えっ?」

「言われません?」

「言われ……る」



やっぱりね?



だって仕草とか口調とか表情とかが顔に似合わず可愛いもん。



顔はきりっと系だけど。
< 52 / 351 >

この作品をシェア

pagetop