好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
「でも可愛いって言われるのってなんか微妙…。かっこいい方がいいじゃん…」

「そうですか? 男の人って可愛い方が魅力的ですよ」

「小糸ちゃんに可愛いって言われるのは無条件で嬉しいよ」



さらっとそんなこと言われたら照れるじゃん…。



かき氷で冷えたはずなのに、熱くなる頬…。



風里先輩がそんなあたしを見て「小糸ちゃんの方が100倍可愛いよ」と言ってあたしの頬を撫でた。



あああ…。



そんなことばっかり言われたらかき氷溶けちゃいます…。



「小糸ちゃんって自分からは好き好きアピールしてくれるのに、俺から何か言われるのは弱いんだね」

「そうですね…」

「あはは、いじめ甲斐あるね」



いじめ!?



えっ、先輩ってそんなSな感じですか…?



新たな先輩の一面に驚きつつ、かき氷を完食してお店を出た。



「最後の方ほぼ液体だったね」

「ですね! でかすぎでしたね…」



それでも先輩といられた時間が嬉しい。



日も落ち始めてきた。



「この後どうする? ご飯食べるにはちょっとさっきのかき氷でお腹タプタプだよねえ」

「そうですねえ…。どうしよ…」

「あ、そうだ、良いところあるんだ!」

「?」



ふふっと微笑んだ先輩はあたしの手を引いて歩き出した。



自然と絡められる指は、またあたしの顔を火照らす。



男の人とこうやって手を繋いで歩くなんて不思議な気分…。



誰かと手を繋ぐなんて小学生以来だ。



「どうしたの? あっ、こういうの嫌だった?」



先輩がそう言って手を離した。



あたしは慌てる。
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