好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
母さんから預かったものを持って悠麗くんの家へ行く。



インターホンを鳴らすと、叔母さんの玖麗(くれい)ちゃんが出た。



「母さんからお届け物でーす」

≪ありがと~。上がってー≫



家に上がると、いつも通り広くて綺麗な家。



リビングに入ると、悠麗くんが「おー、風里」と俺を迎えてくれた。



「これ、母さんから」

「いつもありがとな。昼飯食ってくか?」

「いいの? 食べたい」



俺はそう言ってリビングのソファに腰を下ろした。



弥玖(ひさく)は元気?」

「なんか頑張ってるみたいだな~」



いとこの弥玖は、悠麗くんと玖麗ちゃんの一人息子。



今は社会人3年目で、出版社で働いてる。



ずっと付き合ってる彼女と同棲していて、最近は会ってない。



悠麗くんがキッチンに移動した。



洗い物をしてる玖麗ちゃんの裾を「濡れるぞ」とまくり上げる。



「ありがと~」

「ん」



いつ見ても仲の良い2人だ。



それから悠麗くんが「パスタでいいか?」と俺に聞いてくれる。



「なんでもいいよ。ありがと」



悠麗くんがパスタをゆで始めた。



「風里は午後なんか用事あるのか?」

「ん~、デート」

「彼女か?」

「違うけどそうなりそう」

「一番いい時期だな」



そうなのかな…。



なんか恋愛のわくわくみたいなものは別にないけど…。



うちの両親もかなり仲が良いし、悠麗くんと玖麗ちゃんを見ててもずっと仲が良いから、結婚したら自然とそうなるものなんだと思ってるけど、自分がそうなる未来は全く思い浮かばない…。
< 7 / 351 >

この作品をシェア

pagetop