好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
先輩だ!



急いで電話を取った。



「もしもし!」

≪お待たせ~≫

「楽しみすぎて朝から待ちすぎました!」

≪あはは、何それ~≫



ああ…先輩だ。



電話越しに聞く声も素敵…。



後ろからざわざわとした声が聞こえる。



「先輩は今どこで電話してるんですか?」

≪男子の大部屋だよ~。なんか枕投げ大会してる≫

「先輩は参加しなくていいんですか?」

≪枕投げるとバチあたりそうだから俺はいいの…≫



バチ…?



当たるのかな…。



「あ、鹿の写真見ましたよ! 大変そうでしたね」

≪そうなんだよ~。あいつらしつこくてさ、鹿せんべいあげたのにまだ足りないみたいで俺の持ってた紙袋まで食べたの!≫

「うわあ、あたしの予想以上にまとわりつかれてる…」

≪なんか予想してたの≫

「はい、先輩が追いかけられてるの想像して面白いなって思ってました」

≪いや、実際面白かったと思うよ。俺、鹿にモテモテ…。小糸ちゃんが嫉妬しちゃう…≫

「さすがに鹿に嫉妬なんてしませんよ」

≪俺は小糸ちゃんが鹿にモテてたら嫉妬するけどね≫

「何言ってるんですか…」



あ~、先輩と電話するのって楽しいな…。



あ、もう5分経っちゃう…。



「そ、そろそろ…切りますか?」

≪え、なんで? なんか用事?≫

「いや、先輩がもう切ったほうがいいかなって…」

≪俺はまだまだ電話してたいけどね≫



先輩がそう言ってくれるからすっごく嬉しくなった。



やったー! もっと電話してていいんだ。
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